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SS頂きました!

流るる、雲。のすいもうさんにSS頂きました!
すいもうさん所の高町家のシンシアちゃんのお話ですよ!\(^O^)/
フェイトさんにかまってもらえなくて拗ねるシンシアちゃんかわいい!

続きからどうぞ~
羨望=まだまだこれからなんだよ

 こんにちは、高町シンシアです。
 さっそくですが、私はいまちょっとした絶望を感じています。
「うん? どうしたの? シンシア」
「さっきまでは普通に話していたのに、急に黙っちゃって変なの」
 不思議そうに首をかしげるお母さんとあっけらかんに笑うクレアお姉ちゃん。二人とも、普段は服で隠れている部分が普通に見えている。もっと言えば、生まれたままの姿で私の前にいます。
「別になんでもないよ」
「そう? のぼせたり、具合悪くなったりしたら、いつでも言うんだよ?」
「そうそう。倒れられたら、困っちゃうもんね~。まぁ、シンシアがのぼせたら、お母さんと二人っきりでのんびりできるから、私としてはいいんだけど」
「クレア、だめだよ? そういうこと言っちゃ」
「はーい、ごめんなさい」
 お母さんに注意されて、しゅんと項垂れるクレアお姉ちゃん。本当にクレアお姉ちゃんは、私に喧嘩売るようなことばかり言うし、隙あらば、お母さんを独り占めにしようとするのです。
 でも、いまの状況では、たとえ喧嘩を売られてもいつもみたいに買うことはできない。というか、勝負にすらならないと思います。
 私は一度自分のを見てから、お母さんとクレアお姉ちゃんをまじまじと眺めました。
 お母さんは、同性から見ても見惚れるくらいに美人で、スタイルもすごくいい。出ているところは出ているし、引っこんでいるところは、きれいなくびれができていた。モデル体型とでも言えばいいのかな。お母さんなら、いまからモデルになってもおかしくはないし、なったらなったですぐにトップモデルの仲間入りができると思う。
 クレアお姉ちゃんは、お母さんほどじゃないけど、ヴィヴィオお姉ちゃんやガザニアお義兄さんの話では、同年代の女の子とは較べようもないほどにスタイルがいいって聞いたことがあります。実際、学園でお姉ちゃんと同じ学年の人を見たことがあるけど、お姉ちゃんに較べたら、なんというか、かわいそうって思えた。
 それに加えて、クレアお姉ちゃんは黙ってさえいれば、美少女と言ってもおかしくない顔立ちをしている。もっとも、口を開けば、すぐにそのレッテルは剥がれてしまいますけどね。
 まぁ、クレアお姉ちゃんがきれいな顔立ちをしているのも、スタイルがいいのも、当たり前な気がした。以前、お父さんやはやてさんが、クレアお姉ちゃんは、お姉ちゃんと同じ頃のお母さんとそっくりだって、酔っ払いながら、話をしているところを聞いたことがありました。
 でも、その時、酔っていたのは、はやてさんだけで、お父さんはいくら飲んでも平然とした表情を浮かべていました。はやてさんははやてさんで酔ってはいるけど、酔い潰れる雰囲気は一切なかった。
 まぁ、それはさておきです。
 クレアお姉ちゃんが黙っていれば、美少女なのも、スタイルがいいのも、すべてはお母さんそっくりだからです。うちの姉妹ではクレアお姉ちゃんが一番お母さんに似ている。遺伝というのはすごいなぁってしみじみと思います。
 そう、遺伝の力はすごい。そう、すごいはずなんです。でも、遺伝の力がすごいなら、なぜ。そう、なぜ私だけはこんなにもみみっちい体をしているのでしょうか。
 お母さんたちを眺めた後、私はまた自分のを見た。お母さんやお姉ちゃんのようなふくらみはまだ胸にはなく、腰は、くびれどころか、脇から一直線を描いていました。
 絶望とともに悲しみが沸き起こる。まだ成長期じゃない。そう成長期じゃないから、この差はある。
 たとえ、クレアお姉ちゃんとの歳の差が四つしかなかったとしても。たとえ、そろそろ成長期に入るはずなのに、まったくその兆しを見せてくれなかったとしても。夏の終りに測った時と較べて、胸囲の成長がまったくなかったとしても。それもすべては成長期がまだ訪れていないからなのです。
 いわば、私の成長はこれからなのです。まだ私はスタート地点に立っていない。それだけのことだ、と自分に言い聞かせても不安や絶望は簡単には拭いきれません。状況が状況だけにそれも仕方がないのかもしれません。何度目かの深い溜め息を私は吐きました。
「シンシア? 本当にどうしたの?」
 クレアお姉ちゃんがざばざばと音を立てながら、後ろから私を抱きしめてくれました。むにっと背中でとても柔らかいものが潰れているのがわかります。ああ、大きいなぁ。ほろり、と涙がちょちょ切れそうになるのがわかります。
「なんでもないよ」
「でも、なんかさっきから溜め息吐くのが多くないかな?」
「そうだね。私とクレアを見て、さっきから何度も溜め息を吐いているみたいだし。なにかあったの? シンシア」
 お母さんもクレアお姉ちゃんも心配そうに私に声をかけてくれる。それは純粋に嬉しいことなんですけど、いまの状況だとあんまり嬉しくなかったりします。というか、クレアお姉ちゃんは嫌みをしているのかと言いたくなるくらいです。
「なんでもないってば」
 ざばーという音を立てながら、私は立ちあがりました。抱きしめているから、クレアお姉ちゃんもつられて立ち上がりました。
「こら、シンシア。いきなり立ちあがったら、危ないよ」
「そうだよ。それにまだ温まっていないから、まだ入っていようね」
「も、もう平気だもん」
「だぁめ。百数えたら、出ていいから、それまではお母さんたちと一緒に入っていようね」
「そうだよ、風邪引いたら、困るからね」
 そう言って、お母さんとクレアお姉ちゃんは私をやや強引にお湯の中に戻した。ここまで言えば、もうおわかりだと思いますが、いま私はお母さんとクレアお姉ちゃんと一緒にうちのお風呂に入っていました。どうして二人と一緒に入っているのか。それは、お昼時のことでした。

     1

 今日は学園がおやすみの日でした。だけど、私は朝早くから起きて、日課である魔法の訓練をクレアお姉ちゃんとしていました。でも、それは建て前で、本当はお母さんを独り占めにするためだったんです。
 いつもお母さんを独り占めにしているお父さんは、数日前に要請が入り、現在任務をこなしている真っ最中だったりします。
 だから、今日はお母さんを朝から独り占めにする絶好のチャンスだったんです。だから、今日こそはお母さんを独り占めにしようともくろんでいたわけなのですが、結果から言うとそれはしょっぱなから潰えました。
 朝起きた時点ですでにクレアお姉ちゃんは部屋にいませんでした。まさか。そう思い、部屋を出て寝室に向かうと、お母さんと一緒に寝室のベッドでクレアお姉ちゃんが眠っていやがりました。
 しかも、クレアお姉ちゃんはお母さんにぎゅーと抱きしめて貰いながらのご就寝です。固まる私を尻目にクレアお姉ちゃんは、健やかな寝息を立ててくれました。
 その後も、ことごとくお姉ちゃんは私がお母さんを独り占めにしようとするたびに、私もやる~とか抜かしてくれました。その結果、お昼を迎えてもお母さんを独り占めにすることは叶わないままでした。
 そうしてお昼を迎えたからか、私は自分のお昼ご飯を黙々と食べていました。隣にはいつものようにどこかの誰かさんがバカ喰いをしていた。山盛りのパスタが見る見るうちに消えてなくなっていく光景はある意味、目を疑うものです。
 もっとも、もう馴れてしまっているので、いまさら騒ぎたてるようなことではありませんけどね。ちゃんと味わって食べているのかなって時折思いますが、誰かさんは、ちゃんと味わっているよ、と反論するので、私から言うことは特にない。
「ごちそうさまでした」
 やがて、ぱちんと両手を合わせて、誰かさんこと、クレアお姉ちゃんは満足げに言いました。お姉ちゃんの前にある私のものの数倍の大きさのお皿は中身がきれいになくなっている。
 ちなみに、今日のメニューはミートソースパスタとシーザーサラダでした。ミートソースには隠し味としてお味噌が入っており、お味噌のコクが出て、さらに美味しくなるって以前教えてもらったことがあります。実際に、ミートソースにはたしかにコクがある。まぁ、クレアお姉ちゃんにわかるようなものではないと思いますが。
「今日も美味しかったよ、お母さん」
「ありがとう。クレアはいつもそう言ってくれるし、すごく美味しそうに食べてくれるから、お母さんすごく嬉しいよ」
「えへへへ」
 お母さんの社交辞令に嬉しそうに笑うクレアお姉ちゃん。本当にクレアお姉ちゃんは単純です。そんなお姉ちゃんを付けあがらせるようなことを言うお母さんもお母さんです。私にとってみれば、ただ単にバカ喰いしているだけにしか思えないのに、どうしてそんなことを言うのか。いつものことですけど、理解できません。
「さてと。クレア、動かないでね」
 すっとお母さんの腕が伸びる。お母さんの手にはいつのまにかナプキンが握られていました。見れば、お姉ちゃんの口の周りはソースでべったりと汚れていて、子供みたいでした。そんな子供みたいに汚れている、お姉ちゃんの口の周りをお母さんは優しく拭いてあげています。
 クレアお姉ちゃんはお姉ちゃんで、すごく嬉しそうに笑いながら、お母さんに口の周りを拭いてもらっている。ちょっとむかっと来ます。でも、ここは我慢です。私はお姉ちゃんと違って子供じゃないのです。
「はい、おしまい。クレアはいつまで経っても、こういうところは変らないね」
「だって、お母さんのご飯が美味しすぎるから、夢中になっちゃうんだもん」
「ふふふ、ありがとう。お母さんもクレアの食べっぷりを見るのが楽しみだからね」
「ありがとう、お母さん」
 さっそく、お母さんを独り占めにしようとしているクレアお姉ちゃん。こういうところはとても姑息だと思います。正直言ってすごく腹立たしい、なんだかむかむかしてきました。お姉ちゃんがそうやってお母さんを独り占めにするのなら、私にだって考えがあります。
「お母さん」
「うん? どうしたの? シンシア」
「お買い物付き合ってくれない?」
「いいよ」
「本当に?」
「うん。本当だよ」
「じゃあ、私も一緒に」
 クレアお姉ちゃんがお決まりのセリフを言おうとした。でも、それよりも速く私はお姉ちゃんにはっきりと言いました。
「クレアお姉ちゃんはダメ。私はお母さんと一緒に行くんだもん」
「えー? 横暴だよ、シンシア」
「横暴じゃないもん」
 クレアお姉ちゃんを睨みつけた。クレアお姉ちゃんは困ったような表情を浮かべてお母さんを見やりました。すると、お母さんは溜め息をひとつ吐いて言いました。
「クレア。今日はお留守番していてくれる?」
「お母さんがそういうなら仕方ないなぁ」
 大きく溜め息を吐きながら、クレアお姉ちゃんは頷いてくれた。よし、これでお母さんを独り占めにできる。私は喜びながら、残っていたパスタを口に詰め込みました。

    2

「ありがとうございました」
 後ろからの声を聞きながら、私とお母さんはお店を後にした。お母さんと私は買い物袋を片方の手でひとつずつ持ちながら、もう片方の手を繋いでいました。
「ごめんね、シンシアの買い物だったはずなのに」
「いいよ。お母さんと一緒ならなんでもいいの」
 私とお母さんが向かったのは、近所のスーパーマーケットでした。しかも、車ではなく、あえての徒歩で向かったのです。車だと行きも帰りもすぐに辿りついてしまう。そうなると、お母さんと二人っきりでいる時間が少なくなるのを防ぐために歩くことにしたのです。
 とはいっても、歩いても、せいぜい十五分もかからないくらいなので、あまり意味はないかもしれないけど、一秒でも多くお母さんと二人っきりでいたかった。
 そんな私のわがままをお母さんは聞いてくれた。そうして、向かったスーパーでの買い物を終え、私とお母さんは家路へと着いていました。
「シンシアは優しいね。こんなにも優しくていい子に育ってくれて、お母さん嬉しいな」
「えへへへ」
 お母さんは嬉しそうに笑ってくれた。お母さんに褒められたことが嬉しくて、私も笑っていた。思い返してみれば、お母さんの言ってくれたことは、クレアお姉ちゃんに対して言うものと同じような内容だった。私が社交辞令と切り捨てたものと同じようなことでしかない。
 でも、私にとって、お母さんが言ってくれたことは、社交辞令なんかとは違う。本心からそう言ってくれているって、思えるものだった。
 まぁ、お母さんのことだから、クレアお姉ちゃんに対して言う時も、社交辞令ではないのかもしれないけど、それはどうでもいい。
 大事なのは、お母さんが私のことを褒めてくれて、そして、大事に思ってくれていること。それこそが私にとって大事なことだった。
 だけど、今回のことはちょっとだけ後ろめたさがあった。買い物に付き合ってほしいってお母さんにお願いしたからこそ、いまという時間はあった。でも、本当は、買い物する予定なんてなかった。もっと、言えば、買いたいものなんてなにもなかったし、買おうと考えているものもない。
 簡単に言っちゃうと、私はお母さんとクレアお姉ちゃんを騙していた。騙すってほどのことではないかもしれないけど、お母さんを独り占めにするために、嘘を吐いたことは変わりない。そういう意味では、やっぱり、心苦しいものがあった。
 それでも、私はお母さんを独り占めにしたかったし、私だけのお母さんでいてほしかった。そんな悪い私でいたから、それは起こったんだと思う。
 スーパーを出て、しばらく歩いていると、不意に、ぽつぽつと雨が降り始めたのです。はじめは、小雨程度だったのに、徐々に激しさを増し、あっという間に豪雨となってしまったんです。
「走るよ、シンシア」
「うん」
 幸いなことに、家からそう遠くはなかった。スーパーから家まで走れば十分もかからない。それに豪雨になった場所からだともっと早く家につける。空を飛べばもっと早いけど、街中で魔法を使うのは禁止されているから、使うわけにはいかなかった。
 そうして、私とお母さんは豪雨の中を走って家に帰ることになったんです。でも、どうにか帰りついた頃には私もお母さんもびしょ濡れになってしまっていました。
「ありゃりゃ、お母さんもシンシアもびしょびしょだね」
 家に入ると、ちょうどリビングからクレアお姉ちゃんが顔を出して言いました。予想通りって顔でした。
「クレア、悪いんだけど、お風呂沸かして貰えるかな?」
「了解って言いたいところだけど、もうお風呂沸いているよ」
「え?」
「お留守番になっても暇だったから、お風呂に入ろうと思って、用意していたんだ」
「そっか。じゃあ、先に入らせて貰うね」
「うん。あとで着替え持って行くから、そのまま入ってきて」
「ありがとう、クレア」
「クレアお姉ちゃんにしては気が利くね」
「ひと言余計だよ、シンシア」
 そう言って、お姉ちゃんは私のおでこを指で弾いてから、二階に向かって行った。お姉ちゃんが階段を上る音を耳にしながら、私とお母さんは、お風呂場へと向かったのです。
 そこまでは、まだよかったんです。クレアお姉ちゃんにでこピンされたことはちょっと、というか、かなりいらっと来ましたけど、着替えを持ってきてくれることで借り貸しなしにしてあげました。
 ですが、その後が。具体的に言えば、脱衣場で濡れた服を脱ぎはじめてからが問題でした。
「下着まで濡れちゃったね、シンシア」
 苦笑いしながら、お母さんは着ていた服を脱いでいく。雨で濡れたからか、服はお母さんの肌にぴったりと張り付いていて、体のラインがはっきりとしていました。それだけでも、お母さんがすごくスタイルがいいのがはっきりとわかってしまう。
 そのうえ、服を脱げば、スタイルのいい体があらわになるわけでして、思わず、自分の体と見比べてしまう。お母さんは、胸も大きいのに、腰はくびれができるくらいに細い。お尻は、小さいってわけじゃないけど、形がよかった。
 それに較べて私は、まな板と寸胴と言えば、わかってもらえると思います。自分で言っていて、悲しくなったのは秘密です。
「どうしたの? シンシア」
 首をかしげながら、ブラのホックをはずすお母さん。いわゆる、フロントホックタイプのものでした。ブラを取るとともにお母さんの胸がふるりと震えた。いったい、なにを食べたら、ああなるのか、不思議でなりません。
「なにを食べたら、そこまで大きくなるの?」
「え? あ、あー、その、まぁ、うん」
「なに言っているかわからないよ? っていうか、言葉になっていない」
 唸りながら、お母さんを見つめた。でも、お母さんはなかなか答えてくれませんでした。
「教えてくれないの? お母さん」
「いや、教えるというか、ね。教えられないというか」
「いじわるするの?」
「いや、いじわるじゃなくてね。答えづらいからであってね」
「意味わからない」
「いや、だからね」
 お母さんは慌てていた。というよりも、困っていました。それでも、私はお母さんがどうしてそこまで発育できたのか、その理由が知りたかった。だから、お母さんをさらに問い詰めようとした。そのときでした。
「お待たせー」
 がちゃりと脱衣場のドアが開き、クレアお姉ちゃんが着替えを持って入ってきました。ただ、どういうわけか、着替えが妙に多いように見えます。もっと言えば、三人分あるように思えました。
「あれ、まだ入っていなかったんだ。じゃあ、ちょうどいいや。私も入るから」
「え?」
「シンシアー、ちょっとそこ詰めてね」
 そう言って、クレアお姉ちゃんは私が止める間もなく、着替えを隅に置くと、服を脱ぎ始めたのです。お母さんほどではないけど、かなりスタイルのいい体があらわになっていく。
 クレアお姉ちゃんは、サイズが違うけど、お母さんとお揃いのブラをしていた。黒くて、フロントタイプのものです。すごく大人っぽい。まぁ、お母さんとお揃いなんだから、それも当然なんですけど、なんだか、むかっと来ます。
「どうしたの? シンシア」
 下着を外し、上半身を裸になって、クレアお姉ちゃんは首をかしげています。お母さんほどじゃないけど、やっぱり結構大きいです。私とはまるで違う。本当に同じお母さんの娘なのかと疑いたくなるほどに私のそれはお姉ちゃんたちと較べると物悲しくなるものでした。
「なんでもないよ」
 私はそそくさと服を脱いで、お風呂場に向かいました。これ以上お母さんとお姉ちゃんを見ていると、いま以上の物悲しさを覚えてしまいそうだったからです。
 でも、結果から言うと、私のした行動は正直無意味でした。考えればわかることですけど、お母さんたちと一緒にお風呂に入るのだから、先にお風呂場に向かっても意味はない。むしろ、二人よりも後に向かって、そそくさと体を洗い、湯船に浸かって、さっさとお風呂から出るのが一番だったと思います。
 だけど、その時の私は、平常時ではなかった。だから、そこまで頭が回りませんでした。そのことに気づいたのは、お母さんたちがお風呂場に入ってきた時でした。
 そうして私は、いまに至るまで絶望感を抱き続けることになったのです。

       3

「お母さんの髪ってすごくさらさらだよね~」
「クレアの髪の方がきれいだと思うよ?」
「そんなことないよ、お母さんの方がきれいだよ」
「ありがとう。お世辞でも嬉しいよ、クレア」
「お世辞じゃないよ。本気で言っているの」
「そっか」
 くすりと笑うお母さんとちょっとむきになっているクレアお姉ちゃん。お互いの髪がきれいだと言っていますけど、私から言わせれば、お母さんとお姉ちゃん、どっちの髪もすごくきれいです。でも、二人に較べると私の髪はあんまりです。
 スタイルだけじゃなく髪質までもが劣っている。本当にお母さんの血の繋がった娘なのかと自分でも疑いたくなります。ちなみに、いま私はお母さんたちと浴槽を出て、背中を洗いっこしています。お母さんの背中をお姉ちゃんが。お姉ちゃんの背中を私がという具合です。
 お母さんの背中を洗い終えたら、私が洗われる番。つまり、いまとは逆になるわけです。
 ですが、そもそもなぜ私はお姉ちゃんの背中を洗っているのでしょうか。百まで数え終ったら、お風呂場から出るはずだったのに、気づけばお姉ちゃんの背中を洗っていました。
 だからと言って、やめるわけにはいかない。というか、できない。やめたら、やめたでお姉ちゃんがまたなにか言うだろうし、お母さんを独り占めにされる可能性もありました。だから、この場は引くわけにはいかなかった。
「もういいよ、クレア。じゃあ、今度はお母さんがクレアの背中を洗ってあげるね」
「はーい。シンシアも背中洗うのやめていいよ~。今度は私に背中を洗わせてね」
 お母さんとお姉ちゃんが体の向きを変える。その際、振り向くのがちょっと遅れたから、お姉ちゃんの全身がもろに見えました。お姉ちゃん越しだったけど、お母さんの体もまた。また絶望感に打ちひしがれてしまった。本当どうして私だけ。そうしみじみと思った。
「どうしたの? シンシア。今日は落ち込むことが多いけど」
「なにかあったの? シンシア」
 お姉ちゃんとお母さんが心配してくれた。もっとも、心配されてもこればかりはどうしようもないことだし、なんて言えばいいかわからないもの。私はなにも言うことができず、ただ俯いた。そのときでした。
「もしかして、脱衣場で言っていたこと?」
 お母さんが恐る恐ると口を開く。確かに、胸も関係はしているけど、私の気にしていることは全身のことだったけど、近いといえば、近かったので、私は無言で頷きました。
「そっか。シンシアもお年頃だから、気になっちゃうかな」
「うん」
「なんのこと?」
「さっきね、どうしたら、そこまで大きくなれるのかって聞かれてね」
「大きく? ああ、そういうことか。でも、こんなの重いだけで意味ないと思うよ。肩もこっちゃうし」
 クレアお姉ちゃんは慰めるかのようなことを言ってくれました。
 胸が大きいと肩を凝るというのは割りと聞く話です。でも、その肩こりを経験してみたいのです。私のいまの成長状況では、クレアお姉ちゃんくらいの歳になっても、このままの可能性が大。お姉ちゃんの慰めのひと言も私にとっては自慢にしか聞こえなかった。でも、自慢するだけのも差があるのも事実でした。
「あ、あれ? シンシアがまた落ち込んで」
「えっと、あ、あのね、シンシア。シンシアはまだ成長期に入っていないんだよ」
「そ、そうだよ、シンシア。成長期に突入したら、きっと私やお母さんよりもスタイルがよくなるに決まっているよ」
「うん。きっとそうだよ。お母さんが保証するから、ね?」
「お姉ちゃんも保証するから、落ち込まないで」
 お母さんとお姉ちゃんの言葉はとても優しいもので、慰めようとしてくれるのがわかります。でも、いまの私には逆効果でした。
「絶対、スタイルよくなってみせるんだから!」
 勢いよく顔をあげて、お母さんとお姉ちゃんに宣言し、お姉ちゃんたちに背中を向け、ちょうどお風呂場のガラス戸の正面を見やりました。
「うん?」
 ガラス戸を見やってすぐに、違和感を覚えました。なんだかいま誰かと目が合ったような気がしました。私はまじまじとガラス戸を見やりました。
 すると、蒼い瞳が見えました。ちょうどガラス戸の隙間に明らかに動揺している蒼い瞳が見えます。それが誰のものなのか、言うまでもありません。
「なにしているの? お父さん」
 あえてはっきりとガラス戸のむこうにいる人物の名を口にした。
「え? お父さん? でも、お父さんはいま任務で」
「終ったら連絡するって言っていたから、まだ任務中だと思うよ?」
 お姉ちゃんもお母さんもなにを言っているんだろう、という感じでした。たしかに、私も実際に目にするまではお父さんが帰ってきているとは思っていませんでした。でも、現実にお父さんは目の前にいます。ガラス戸の向こう側に。
「お姉ちゃんもお母さんもよく見てよ。ガラス戸の隙間からお父さん覗いているじゃない」
「えー? まさか、いくらお父さんでも」
「そうだよ、シンシア。いくらお父さんが」
 お姉ちゃんとお母さんは、おかしそうに笑いながらガラス戸を見やり、そして、すぐに絶句しました。笑顔のまま、お姉ちゃんもお母さんも固まっていた。
 同時に、ぞくりと背筋が震え始める。笑顔のままで固まっている、お姉ちゃんとお母さんから、すごい威圧感が漂いはじめたのです。しばらくして、お姉ちゃんとお母さんはゆっくりと口を開きました。
「お父さん? いるなら出てこようね?」
「なのは? なにしているのかな?」
 お母さんとお姉ちゃんの声はとても明るいものでした。でも、かなり強制力のある声でもありました。そろりとガラス戸が開きました。そこには、土下座するお父さんの姿がありました。
「とりあえずさ、お父さん。どうしているの?」
「えっとね、うん、任務がその終ったんだよ。報告も終ったし、あとは五日間くらいオフでいいって言われたから、帰ってきたんだ。ちょうどさっき」
「さっき? さっきっていつなのかな?」
「えっと、それは」
「もしかして、私たちが湯船に浸かっている時とかかな?」
「それは、その」
 しどろもどろに答えるお父さん。普段のはっきりきっぱりとしているお父さんとはまるで別人です。カッコ悪い。そう思わざるをえませんでした。
「答えられないってことは、それよりも前ってことかな?」
「もしかして、最初から?」
「あ、あははは」
「笑ってごまかさない」
「はい、ごめんなさい」
 再び土下座をするお父さん。やっぱりカッコ悪いと思いました。
「まぁ、いつからはどうでもいいや。それよりも、なにしていたのかな? なのはは」
「ガラス戸をちょっとだけ開けてお風呂場を見ていたって時点でわかりきっているけどさ、とりあえず、言い訳させてあげるね、お父さん」
 ニコニコと笑うお姉ちゃんとお母さん。いまさらですけど、二人ともかなり本気で怒っているみたいです。お父さんもそれがわかっているのか、二人の迫力にたじたじになっています。
「ご、誤解ダヨ? ただ、その」
「ただ? なぁに? お父さん」
「えっとね、た、楽しそうな声が聞えてきたから、なにしているのかなぁ~と思って、来てみたら、三人一緒に入っているから、つい」
「つい? ついで、なのはは奥さんと娘たちの入浴シーンを覗いちゃうんだね」
「ち、違うよ、私はフェイトちゃんとクレアとシンシアのやり取りを見て、はあはあとしていただけで、あ」
「語るに落ちたね、お父さん」
 お母さんとお姉ちゃんの追及に耐えきれなかったのか、お父さんはぼろを出しました。お父さんがだらだらと汗を掻きはじめます。
「クレア、シンシア。どうしようか」
「そうだね~。極刑ものかな? シンシアはどう思う?」
 お母さんとお姉ちゃんはにこにこと笑っている。お父さんは次々に汗を噴き出させながら、固まっています。かわいそうと言えば、かわいそうだけど、今回は自業自得でした。
「極刑でいいんじゃないかな?」
「じゃあ、三人一致ということで、なのは。覚悟してね」
 お母さんがとても楽しそうに言いました。
 その何分か後、我が家の上空で三つの金色の魔力砲撃が放たれました。誰に放たれたのかは言うまでもありません。
 その後、お母さんから半年の禁欲を、私とお姉ちゃんからは最低の烙印を受け、お父さんはぷすぷすと焦げながら、リビングの隅でorzの体勢になっていたのは別のお話です……。
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